


奇数月例句会

偶数月例句会
◆7月24日(木) 於・横浜市社会福祉センター
兼題「辺」・ 「転」 参加者 22名(内1名見学者)
長き夜や焼きおにぎりを分け会ひて 青島 哲夫
きらきらと河の向うの夕立かな 麻生 明
地球病み優柔不断な梅雨なりし 麻実 洋子
驟雨いま慈雨となりけり神輿連 牛嶋美代子
横に首強く振りけり蚊一匹 梅津 大八
銘柄を変へてひとりの冷奴 江田 ゆう
そらんずる九々の復習雲の峰 大高 芳子
夏の蝶立体交差に迷い込む 加賀田せん翆
灯の入れば鬼灯市の値引き時 金澤 一水
亡き人にただ会ひたくて夜の秋 木村 晴美
隠居して南瓜の花の庵かな 剣持 紀夫
冷房の紀伊国屋にて立ち読みす 坂 守
失恋の悔ひ消すやうに蝉の声 菅原 若水
刈られても立つ夏草の心意気 杉本 春美
風に氷旗生ける証はこんなもの 竹中 瞭
切り岸の波立ち上がる土用かな 錦織 睦子
夾竹桃原爆ドームを花かげに 吉沢トキ子
種からの夏朝顔に囲まるる 平野 肇
河童忌や書架の一冊逆しまに 松本 進
故郷や鎮馗の睨む夏座敷 前田 忠嗣
山鉾や雨と拍手の辻回し 若林 裕子
◇横浜俳話会奇数月句会報◇ 青島 哲夫・報
◆5月24日(土)於・横浜市社会福祉センター
兼題「辺」・「転」 参加者 23名
花言葉添へて蒔きたる花の種 青島 哲夫
夏場所を制して静か大の里 麻生 明
峰雲や運転歴に別の貌 麻実 洋子
お転婆の汗の熱さを抱きとむる 牛嶋美代子
存命も死も八月の重しこと 江田 ゆう
この辺り昭和のにおい柿の花 加賀田せん翆
若葉風に自転車軽ろしクラス会 片倉 幸恵
頬白や天辺で告ぐ天下取り 川満 久恵
九十の紅差してみるマリア月 加藤 房子
聟殿の誕生祝初鰹 木村 晴美
潮騒を枕辺に聞く夏の宿 川島由美子
転職は最後の最後花は葉に 剣持 紀夫
みささぎの山の辺の道風薫る 坂 守
七変化妻母女人間と 菅原 若水
新教皇へ歓喜のこだま聖五月 杉本 春美
転生のあるなし梅雨のずんだ餅 竹中 瞭
花は葉に転居届のライン来る 西村 典子
枕辺の水の燿ふほたるの夜 錦織 睦子
若葉風吸つて余生を充電す 吉居 珪子
猫の呼ぶ寝転ぶを撫づ春の暮 平野 肇
葉脈透くるいのちや柿若葉 松本 進
万緑や乳児カンガルー抱つこされ 守屋 典子
夏めくや回転木馬の風の色 若林 裕子
◇横浜俳話会奇数月句会報◇ 青島 哲夫・報
◆3月20年日(木) 於・横浜市社会福祉センター
兼題「河」・ 「春」 参加者 18名(内1名見学者)
球児らの春塵上げて塁盗む 青島 哲夫
断捨離に己の末もつばくらめ 麻生 明
清明や重き腰上げ畑へと 麻実 洋子
春風も添へて術後の祝膳 江田 ゆう
ふらんどや蕾のままの恋ひとつ 大崎 恵実
迷い子のようにふるえて初ざくら 加賀田せん翆
雪解けて大河のほとり国生まる 片倉 幸恵
風光る白寿への道杖と行く 加藤 房子
山河越ゆる女神の風へ山笑ふ 金澤 一水
遠景に一級河川花木五倍子 川島由美子
我が願ひ朝寝する極楽とんぼ 菅原 若水
春空へ三浦大地の鼓動かな 杉本 晴美
夢違ふ爺と婆なり花蓆 竹中 瞭
老幹の影踏み見上ぐ初桜 西村 典子
逃げ水や路面電車は音を踏み 錦織 睦子
淀川にネオン流れて春の闇 吉沢トキ子
鳩七羽隊列組みて春探す 平野 肇
遠足がおべんとコールして通る 守屋 典子
◇横浜俳話会奇数月句会報◇ 青島 哲夫・報
◆1月23日(木) 於・横浜市社会福祉センター
兼題「天」・ 「良」 参加者 23名(内1名見学者)
太く太く天の一文字筆始 相 道生
梅日和鳥にも好む枝があり 青島 哲夫
大寒というでっかき器かぶせらる 麻生 明
ふるさとの軒の低さや雪催 牛嶋美代子
草書かく墨の乾きや春隣 江田 ゆう
初夢の天眼鏡の手相かな 大高 芳子
人日や蓄えているエネルギー 加賀田せん翆
手術して視界良好金目鯛 近藤由美子
雪吊の縄一点へ天を衝く 川満 久恵
薺打つ高値の野菜トコトント 片倉 幸恵
黒餡の甘さ広がる大寒なり 川島由美子
良きこころ生まる良き日の日向ぼこ 金澤 一水
大氷柱折りて湯もみや野天の湯 木村 晴美
天真のこころ戴く初日の出 杉本 春美
まるまると夢に膨るる寒雀 菅原 若水
弁天を拝す岸辺に実万両 西村 典子
せせらぎに和する鳥声春隣 錦織 睦子
山茶花の天に向ひて目白呼び 吉沢トキ子
箱根駅伝見るも走るも息白し 松本 進
地に降りしリス冬天へ駆上ぐる 平野 肇
燗酒の徳利の底に浮世あり 前田 忠嗣
寒卵割って岩戸の明くごとし 守屋 典子
青島 哲夫・報
◆11月28日(木) 於・横浜市社会福祉センター
兼題「橋」・「黄」 参加者22名(内見学者1名) 50音順
菊月や二重線引く住所録 青島 哲夫
真つ直ぐとは行かぬ晩年薬喰 麻実 洋子
焼芋の窯をのぞいて小突かれる 麻生 明
熱燗やほんに言葉は足らぬもの 牛嶋美代子
雪が降ってもなつちやんの傘黄色 梅津 大八
素数だけはみ出す孤独懐炉抱く 江田 ゆう
短日や混み合うてゐる診療所 大高 芳子
何もかも忘れて歩く小春かな 加賀田せん翆
冬蝶や自分探しの奇数月 近藤由美子
天高しドローンに映える黄金波 片倉 幸恵
初時雨子らかけ抜ける沈下橋 川島由美子
吊橋の杣人の肩小六月 金澤 一水
山茶花や勾玉のごと母眠り 木村 晴美
冬もみじ欄干橋の人ざかり 杉本 春美
泪橋力石偲ぶジョーの冬 菅原 若水
外湯まで飛び石五つしぐれけり 錦織 睦子
もみぢ山地の体温と香と色と 吉沢トキ子
車座の訛りこぼるるのつぺ汁 松本 進
隣より越境蜜柑気のもめる 平野 肇
秋深みカフェ青山は黄金色 前田 忠嗣
大いなるマスクの渡る太鼓橋 守屋 典子
青島 哲夫・報
◆9月23日(木) 於・横浜市社会福祉センター
兼題「謝」・「方」 参加者15名(50音順)
いつのまに共に老いゐし栗ご飯 青島 哲夫
月並も陳腐も捨てずちちろ鳴く 麻実 洋子
秋はじめ平和な国の救急車 麻生 明
天高し岬まはりを選ぶ帰路 牛嶋美代子
正論に疲れて眺む望の月 江田 ゆう
パズル解け私を開放する花野 加賀田せん翆
満月にかける人類今昔 片倉 幸恵
謝礼とてぶどう一房渡される 川島由美子
とろろ汁この一膳の飯を炊く 木村 晴美
鈴虫は明日の方角知つている 菅原 若水
ほろ酔ひの向ふ家路へ虫の声 杉本 春美
蛇笏忌の確たる露の強さかな 松本 進
若冲の鶏居るか鶏頭畑 吉居 珪子
木洩れ日に風の通ひて白露かな 前田 忠嗣
青大将ぬめぬめ沼のごと進む 守屋 典子
青島 哲夫・報
◆令和6年7月22日(月) 於・横浜市社会福祉センター
兼題 「生」・ 「基」 参加者20名(50音順)
生ビール応えてくれる喉仏 相 道生
八咫烏日の丸揚げよ夏五輪 青島 哲夫
真つ当に生きしも胡瓜曲がりをり 麻実 洋子
なんこつ唐揚げ残らず食べる酷暑かな 梅津 大八
信号の赤のじりじり今朝大暑 牛嶋美代子
遠花火どの子も背負ふ小さき闇 江田 ゆう
炎帝に生身晒して生きむとす 加藤 房子
初蝉やふるさと遠くなるばかり 加賀田せん翆
生活の基礎を見直すこの暑さ 片倉 幸恵
梅雨明や遊びの基地のダンボール 川島由美子
空襲と飢餓超え卒寿今朝の春 桐畑 佳永
子供神輿休憩多し裏通り 木村 晴美
生かされて子孫繁栄鮎の川 菅原 若水
家守る母の人生桜の実 杉 本晴美
百日紅生き抜く日々の厨事 錦織 睦子
ガード下話が途切れ生ビール 友井 真言
夕涼の猫たちの基地カーポート 平野 肇
闇の中独り思案の壁の蜘蛛 松本 進
Tシャツを法衣に着替え夏座敷 吉居 珪子
基地の街グレーに染めて送り梅雨 前田 忠嗣
5月29日(水) 於・横浜市社会福祉センター
兼題 「足」・「突」 参加者19名(50音順)
交番に電話一台薔薇一輪 青島 哲夫
持つ物を小銭と決めて白靴で 麻実 洋子
信号は青みなとみらいの夏の蝶 麻生 明
ほどほどに忘れ上手や古団扇 江田 ゆう
足遠くなりし故郷くりの花 大高 芳子
ギィと鳴るドアをなだめて梅雨に入る 加賀田せん翠
つりしのぶ湯屋の煙突昭和の史 片倉 幸恵
樹は千年人は百年夏の星 加藤 房子
修行の僧足裏涼しき作務衣かな 木村 晴美
脛並ぶ足湯の会話雲の峰 金澤 一水
かをりもて心を解く新茶かな 菅原 若水
ファミレスのロボット運ぶソーダ水 杉本 春美
足早に家路を急ぐはたた神 苗村みち代
若葉風ポニーテールの襟足に 錦織 睦子
五月の嵐去り不死鳥の雲いういう 守屋 典子
着物着て足にヒールや雷門 吉沢トキ子
夏館手足投げ出し眠る猫 平野 肇
突貫の道路工事や朝焼けて 前田 忠嗣
薫風や素足の園児列をなし 松本 進
3月21日(土) 於・横浜市社会福祉センター
兼題 「流」・ 「島」 参加者18名(50音順)
今もある抽斗の奥のアベノマスク 青島 哲夫
急流のやうな加齢や涅槃西風 麻実 洋子
ふはふはと熱き唐揚げ鳥雲に 麻生 明
土筆摘む同じ匂ひのするひとと 江田 ゆう
蝶生るペンキの匂ふすべり台 牛嶋美代子
島歌や椿まつりのバスガイド 大高 芳子
どこまでも歩ける靴や初ざくら 加賀田せん翆
五人囃今宵の曲はブラームス 片倉 幸恵
浮き島に鴨の寄り合ふ涅槃西風 加藤 房子
針先の稚魚を流す子風光る 錦織 睦子
沈丁花ふいにひらめく友の顔 川島由美子
黄八丈織る島娘春の月 金澤 一水
褌に紅白のあり水温む 菅原 若水
紫木蓮裏も面も見せて散る 守屋 典子
缶蹴りの声する公園日脚伸ぶ 苗村みち代
つらつら椿鎌倉古道切通し 吉居 珪子
花なずな群れてやさしい風を呼び 吉沢トキ子
安曇野の清流集め山葵沢 平野 肇
◆1月27日(土) 於・横浜市社会福祉センター
兼題 「若」・ 「祝」 参加者23名(50音順)
どんどの火しがらみの渦燃え上がる 相 道生
若人の言葉とまどふ春の夢 青島 哲夫
若菜摘む皺の手にある平和かな 麻実 洋子
若手みな出かけし午後の鏡餅 麻生 明
母の背の若やぎゆけり初電話 牛嶋美代子
帰り花ときどきは子に叱られて 江田 ゆう
注文はパネルタッチの雪見酒 大高 芳子
朽木なかかぶと幼虫深眠り 大竹美津子
寒満月余計なことは考えず 加賀田せん翆
トトトントン薺若菜の三分粥 片倉 幸恵
太陽のうたた寝し居る干布団 加藤 房子
饒舌な女無口に薬喰 神野 重子
冬椿キリリと終の目の手術 川島由美子
駆け上がるごとくに土手を野水仙 川満 久恵
祝箸百寿の叔母の笑ひ皺 金澤 一水
鬼やらひ戦の国の鬼を打て 杉本 春美
若水や不老長寿の淡き夢 菅原 若水
平和といふ家族の時間冬すみれ 松本 進
海鼠の婚海月が祝辞頼まるる 守屋 典子
感謝より始まる朝初明り 苗村みち代
獅子舞の祝儀咥へし大金歯 前田 忠嗣
若い声あらば冬日もあそびをり 横田 正江
若狭街道ぬけて大原千枚漬 吉居 珪子
◆11月23日(木) 於・横浜市社会福祉センター
兼題 「無」・ 「笛」 参加者20名(50音順)
鮟鱇の吊るして捌く無慈悲なる 青島 哲夫
生きたしとガザの児涙す冬隣 麻実 洋子
着膨れのインドの女良く笑う 麻生 明
誉められて褒めて勤労感謝の日 梅津 大八
裸木となるに迷ひは持たざりし 江田 ゆう
黄落の無言の二人恙無し 大高 芳子
磯笛の耳にささやく秋に風 大竹美津子
かりんの実いつも無口な修理工 加賀田せん翠
人招く過疎の里山曼珠沙華 片倉 幸恵
指笛に枯野を走り来る愛犬 神野 重子
柿誉めて無造作に柿渡される 川島由美子
人は皆なくて七癖ちゃんちゃんこ 金澤 一水
雲水の笠にしぐれや京小道 桐畑 佳永
世界地図をひろげ夜長の一人旅 杉本 春美
風あらば風にしたがふ朴落葉 松本 進
短日や小石を並べ描く銀河 守屋 典子
身に入むや無声映画のチャップリン 苗村みち代
指笛の飛び交うスタンド冬の晴 山﨑すみ子
冬眠の熊になれよと笛を吹く 吉沢トキ子
晩秋や磨きの掛かる無位無禄 前田 忠嗣
◆9月21日(木)於・横浜市社会福祉センター
兼題 「震」・ 「放」 参加者 20名(50音順)
大花野いまだのこりし地震跡 青島 哲夫
どうしても消せぬアドレス秋彼岸 麻実 洋子
にぎやかな深夜放送夜食食う 麻生 明
初耳のふりしてされて敬老日 牛嶋美代子
人あたり良くて秋の蚊つきまとふ 江田 ゆう
磯笛をぼつぼつ耳に由比ケ浜 大竹美津子
放課後の秋空へ飛ぶ竹トンボ 加賀田せん翆
夏草の生命力に背押され 片倉 幸恵
墓まゐり人も仏の貌をして 加藤 房子
この辺り地震多けれど天高し 桐畑 佳永
名刹の鐘を震はす鵙高音 金澤 一水
小半時大かまきりと睨み合ふ 神野 重子
いわし雲思案にあまる事多し 杉本 春美
秋燈下聖書の埃払ひけり 菅原 若水
過疎すすみ畦舐め尽くす曼珠沙華 松本 進
秋の夜天窓透かしあらいぐま 平野 肇
鳥渡る老らくの恋は震度七 苗村みち代
蟋蟀や耐震仕様の地獄門 守屋 典子
墨絵めく丹沢連峰あかとんぼ 山﨑すみ子
向日葵の種の旅する嘴の先 吉沢トキ子
7月17日(月) 於・横浜市社会福祉センター
兼題「脱」・「風」 参加者 18名(50音順)
餓鬼の友みんな年寄りあかのまま 青島 哲夫
風通し悪しき小部屋の三尺寝 麻実 洋子
風連れてアイスキャンデー売りが来る 梅津 大八
空蝉やつんぼ桟敷と言ふ安堵 江田 ゆう
心地よき風の笛待つ端居かな 大竹美津子
海の日の落ち切っている砂時計 加賀田せん翆
白南風や棚田根づきて青あおと 片倉 幸恵
脱皮する月並俳句夏の夢 金澤 一水
凌霄を咲かせ小暗き古物商 川島由美子
おしゃべりは老ひの妙薬ソーダ水 杉本 春美
ぶかぶかの虚栄脱ぎ捨て単衣かな 菅原 若水
風死せりゆるゆる走る路線バス 友井 真言
塀の猫丸太となりて涼風受く 平野 肇
子守して風の手枕海の家 前田 忠嗣
赤錆の自転車埋もる草いきれ 松本 進
炎帝の光の中に父帰る 苗村みち代
朝戸あけ涼風厨をさわやかに 山﨑すみ子
老鶯や相模訛をひびかせて 吉沢トキ子
5月31日(火) 於・横浜市社会福祉センター
兼題「後」・「和」 参加者19名(50音順)
パスワード思ひ出せぬや蟻地獄 青島 哲夫
ささやかに広がる平和水打つて 麻生 明
あぢさゐの青に和みし検査の日 麻実 洋子
青胡桃緩和ケアてふ選択肢 江田 ゆう
若葉風揺らし平和の鐘を撞く 加賀田せん翆
薫風や地球丸ごと脱皮して 片倉 幸恵
ゴム長に後家の頑張り梅雨の市 加藤 房子
夏薊後継ぎ絶えて町工場 金澤 一水
海月うきうき奇数月句会の和 神野 重子
後攻に思わぬドラマ草野球 川島由美子
無人駅薄暑の海と一時間 川満 久恵
駆け登る富士の裾野や青嵐 桐畑 佳永
ふるさとや草茫々と西日濃し 菅原 若水
長びきし井戸端会議額あじさい 杉本 晴美
ぬた和への鰹に憶ふ沖の島 前田 忠嗣
どくだみや逢魔が時の道しるべ 松本 進
日傘傾けどこか謎めく二人 田中 悦子
タイマーの奏でるワルツ明易し 苗村みち代
マスク顔浮世に和して木下闇 吉沢トキ子
3月28日(火) 於・横浜市社会福祉センター
兼題「留」・「翔」 参加者21名(50音順)
夜泣き石人通るたび桜散る 青島 哲夫
戦なき映画に見入る夜半の春 麻実 洋子
影もたぬ鳥の翔びたつ海女の笛 麻生 明
変わらない留守電の声花ミモザ 安倍 蘇芳
旅立ちに筋書きは無し雪解川 江田 ゆう
沖へ振るスマホのひかり卒業子 牛嶋美代子
少しだけ翔べる気がする春の月 加賀田せん翆
人間の右往左往の弥生かな 片倉 幸恵
留学の荷物に足せり花衣 加藤 房子
日を留めて桜一本夕棚田 金澤 一水
今にして父似の一徹葱坊主 神野 重子
咲き出して人の匂いのする桜 川島由美子
げんげ田や牛の涎の吹かれ伸ぶ 桐畑 佳永
監督の貧乏ゆすり桜咲く 杉本 晴美
巨船入る港の見える句碑うらら 友井 真言
春炬燵辞書の隣にチョコレート 苗村みち代
振向けばザック引っ張る春の鹿 平野 肇
封じ手の棋士を惑はす春の宵 前田 忠嗣
一列の夢の連なり蝌蚪の紐 守屋 典子
邂逅や旧姓渾名花万朶 吉居 珪子
ふらここの天まで翔んで仲なおり 吉沢トキ子
1月23日(月) 於・横浜市社会福祉センター
兼題「遺」・「待」 参加者 25名 (50音順)
弥勒にも夜叉にもなれぬどんどの火 相 道生
湯豆腐や踊り上手な花かつを 青島 哲夫
筆圧に見ゆる恙や年賀状 麻実 洋子
熱燗を待つ間を埋めるホラひとつ 麻生 明
天帝の怒りか列島雪まみれ 井出 佳子
疑ふを知らぬ遠き日冬桜 江田 ゆう
テイクアウト待つ人の顔春近し 大竹美津子
待つことは育てることや冬木の芽 加賀田せん翆
暗雲を払ひ地球の平和待つ 片倉 幸恵
遺句集に青き夢あり寒き春 加藤 房子
餅を焼くまだありそうな持ち時間 川島由美子
楪や遺伝子に在る我が祖先 桐畑 佳永
落し物すぐ届く街冬すみれ 坂 守
炉開や虫も灯を待ちて飛ぶ 菅原 若水
燃ゆるもの抱きて八十路初詣 杉本 晴美
待つという至福の刻よ初日の出 田中 悦子
水煙の飛天の舞や冬の星 友井 真言
目路に入る緩き飛翔や冬の蠅 飛嶋ゆた佳
遺失物の係とまどう破魔矢かな 苗村みち代
遠き家の灯り濃くなる冬の宵 長井 英雄
飼い主を待つ犬の目や冬ともし 平野 肇
暖とりて待合室に国訛 前田 忠嗣
春待つや児童らの声風にのり 松本 進
枯草を踏みて遺跡をめぐりけり 山﨑すみ子
踏み石に庭下駄揃え春を待つ 吉居 珪子
11月30日(木)於・横浜市社会福祉センター
兼題「後」・「道」 参加者名21名50音順
断捨離に本棚かるくなる師走 青島 哲夫
もう伸びぬ背なに一喝新酒酌む 麻実 洋子
黄落を上からのぞく観覧車 麻生 明
うたかたの色うかべをり冬桜 井出 佳子
鍵穴を覗けば戦凍てし夜 江田 ゆう
周遊の里山海道〆は鰤 牛嶋美代子
番号になりきる受診十二月 加賀田せん翠
夢にみる同じこの道大根引 片倉 幸恵
智恵の輪を何処ぞに忘れ日向ぼこ 加藤 房子
蓑ひとつ求む道灌村時雨 金沢 一水
思ひ出に後悔も入れ日向ぼこ 北村 まき
虚栗踏み俳諧の道究む 桐畑 佳永
冬枯や浦島太郎にも余生 菅原 若水
大き手に陽射いただく花八手 杉本 晴美
たましいの触れ合う時間冬夕焼 田中 悦子
自然薯や山知る人についてゆく 友井 真言
小春の日足取り軽く退院す 苗村みち代
茶の花や亡くして解る親の恩 松本 進
神の留守歯の浮く台詞夫に言ふ 守屋 典子
鰤大根うまいねそうよ姑の味 吉居 珪子
立冬の波をねむらす月白し 吉沢トキ子
9月29日(木) 於・横浜市社会福祉センター
兼題「開」・ 「学」 参加者 22名(50音順)
沈む陽や温め酒良し演歌良し 麻実 洋子
それぞれの道それぞれの愛無月かな 安倍 蘇芳
白露の万の声満つ古戦場 井出 佳子
取り敢へず生きるつもりの障子貼る 江田 ゆう
月に読むペンション村の開拓碑 牛嶋美代子
名月や明日はきっちりノーと言う 加賀田せん翆
八月や学徒の雄姿鬼蜻蜒 片倉 幸恵
晩学といふ暇潰し秋夜長 加藤 房子
茶髪子を友とす老の夜学生 金澤 一水
樹林の青き静寂九月尽 北村 まき
句友これみなわが師なり学ぶ秋 桐畑 佳永
秋の夜の戸を開け放つ古書肆かな 坂 守
集ひしは考へる葦夜学かな 菅原 若水
三猿になれず物言ふ夜寒かな 杉 晴美
最後かなこの地に見上ぐ今日の月 田中 悦子
赤トンボ何もない日に目があった 飛嶋ゆた佳
身は老うも心は老いぬ秋刀魚焼く 友井 真言
学問の神降りて来ず鉦叩 内藤ちよみ
花野行く子供と猫と車椅子 苗村みち代
開けたる丘へ街騒秋澄めり 平野 肇
がさつでもずしりと重き梨の尻 松本 進
龍淵に潜み線状降水帯 守屋 典子
七月二十一日(木)於・横浜市社会福祉センター
兼題「前」・「図」 参加者22名(50音順)
八月の鶴は飛べなくなつてをり 青島 哲夫
約束二つ残して逝きぬ半夏雨 麻生 明
温度差を縮め冷房老二人 麻実 洋子
弾丸のうしろから来る夏の陣 井出 佳子
双眼鏡カメラも軽くして夏野 伊澤嘉與子
白砂糖たつぷりかけむ終戦日 牛嶋美代子
自粛せし蟬はしづかに殻を脱ぐ 江田 ゆう
前うしろくるりとまわす夏帽子 加賀田せん翆
生身魂話の落ちは手前味噌 加藤 房子
夏休み図画・工作の腕研く 片倉 幸恵
我が姓の系図うやむや蟻の道 北村 まき
麦熟れて砲弾の降る前うしろ 金澤 一水
更衣シスターの立つ神戸線 桐畑 佳永
本店の天井高しビヤホール 坂 守
つかみどころなき人生や鰻喰ふ 菅原 若水
もがく囲にまつしぐらなり女郎蜘蛛 杉本 晴美
夏マスク外しひとりの大桟橋 田中 悦子
空白のふえる組織図戻り梅雨 内藤ちよみ
図書室の西日机を独り占め 松本 進
雲流る予報図に見る夏の風 平野 肇
やはらかく妻の影にも水を打つ 西田みつを
吾が鼻梁ただただ汗の分水嶺 守屋 典子
五月十一日(水) 於・横浜市社会福祉センター
兼題「免」・「一」 参加者十八名(五十音順)
人体は宙免疫は銀河系 麻生 明
新樹の香むね一杯に退院す 井出 佳子
風力に浮力を任せ柳絮飛ぶ 伊澤嘉與子
転職の握りこぶしや新じゃが来 牛嶋美代子
初つばめ一番好きなシャツを着て 加賀田せん翠
罷り通る天下御免や地球春 片倉 幸恵
総菜は免許皆伝主夫の春 金澤 一水
葵紋天下御免の夏まつり 蒲谷トシ子
風薫る運転免許返納す 桐畑 佳永
薫風や免震ビルの地鎮祭 坂 守
生き直すことは望まぬ未草 菅原 若水
まず座禅くんで研修今年竹 杉本 晴美
母の日や想いは一つ 戦止め 田中 悦子
更衣一人相撲のすれ違い 友井 真言
階の蛇を起こせば鱗立つ 苗村みち代
もう一人蛍袋に入れます 西田みつを
尻尾振り勾玉めくも蝌蚪は蝌蚪 守屋 典子
薫風や卆寿祝のイタリアン 吉居 珪子
三月二十九日(火)於・横浜市社会福祉センター
兼題「平」・「和」 参加者二十四名(五十音順)
防衛費今年もふやし目刺焼く 青島 哲夫
やどかりの祖国を持たぬ平和かな 麻生 明
お喋りと手頃なランチ初蝶来 麻実 洋子
来し方を丹田に問ひ蕗の薹 伊澤嘉與子
駈け抜けし昭和平成春満月 井出 佳子
手囲ひに灯す線香別れ霜 江田 ゆう
春潮や裾を踊らせ剣道部 牛嶋美代子
パンにある平和の形春の雲 加賀田せん翠
地平線の彼方いさめよ春の雷 片倉 幸恵
風光る白き客船海平ら 加藤 房子
黒土の春光へ打つ鍬深く 金澤 一水
和顔笑の小仏ひとつ風光る 蒲谷トシ子
和の春を粉微塵とす独裁者 川満 久恵
まぼろしの世界平和や春の夢 桐畑 佳永
ものの芽や酒呑むための休肝日 坂 守
花満ちて平和に慣れし身の愁ひ 杉本 晴美
鳥帰るいよよ断捨離急がねば 田中 悦子
和平とふ言葉虚しや冴返る 苗村みち代
帰る雁父のいそうな水平線 西田みつを
胎生と卵生の星春きざす 平野 肇
平穏なる後期高齢春日向 松本 進
騎馬戦の副将つとめ卒業す 守屋 典子
ものの芽や新たに一つ挑みたし 横田 正江
風の意図は奔放にして花筏 吉居 珪子
一月二十日(木) 於・横浜市社会福祉センター
兼題「松」・「塩」 参加者二十三名(五十音順)
焼き鳥へ塩ふる店主三拍子 相 道生
初鏡笑へば殖ゆる免疫力 青島 哲夫
減塩がならいとなりぬ七日粥 麻生 明
寒肥を施し命繋ぎをり 麻実 洋子
三寒四温人生の塩加減 阿部 清明
夫と行く歩幅を共に冬苺 伊澤嘉與子
松籟にのる鳶の笛寒日和 井出 佳子
富士を見に顔を並べて御慶なる 梅津 大八
母を看るひと日を了へし寒茜 江田 ゆう
大寒や今日出来ることひとつする 加賀田せん翠
虎落笛去りし男に塩をまく 加藤 房子
梅ほつりやさしく埋める空き時間 川島由美子
寒紅刷きコロナウイルス寄せつけず 神野 重子
寒晴や身のすみずみを解き放つ 片倉 幸恵
生活の達人揃ふ女正月 金澤 一水
保線夫の螢光チョッキ除夜の鐘 北村 まき
初ミサや地の塩たれと神父説く 桐畑 佳永
ひとふりの塩が要のなずな粥 菅原 若水
行く行かぬ決めかねている初句会 田中 悦子
冬ざるる一直線のもぐら塚 平野 肇
爺様の仁王のような大嚏 苗村みち代
ひらがなにルビ振るように雪積る 西田みつを
普段着で通す人生寒鴉 吉居 珪子
十一月十七日(水) 於・横浜市社会福祉センター
兼題「笑」・「円」 参加者二十七名(五十音順)
極月や一円の利子記帳さる 青島 哲夫
木枯一号ポリ袋の爆笑 麻生 明
暖房車酸素不足の黙乗せて 麻実 洋子
引き籠もる部屋へかあさんからみかん 阿部 清明
色なき風森の木の葉は揺らさずに 伊澤嘉與子
木の葉髪笑つて済ますこと増える 井出 佳子
セーターの胸のアルパカ走り出す 梅津 大八
晩秋や老いてやうやく馴染む街 江田 ゆう
軽くても重し師走のカレンダー 加賀田せん翆
神還る円かに縁まとめられ 加藤 房子
平行線を丸くおさめておでん酒 神野 重子
こがらしや呵々大笑の仏たち 蒲谷トシ子
子育ては急ぐことなし薄紅葉 片倉 幸恵
関りを避くる世を生くかりんの実 金澤 一水
円空仏まつる尼寺木守柿 北村 まき
鬼笑ふついつい五年日記買ふ 桐畑 佳永
ラグビーや立てば蹴らるる楕円球 坂 守
枯芝や理髪店には蒸タオル 菅原 若水
笑笑とメールに絵文字長き夜 田中 悦子
モナリザの謎のほほ笑み寒月光 杉本 晴美
切り株の円卓現るる秋手入れ 平野 肇
いつしかと愚痴も笑いに秋日和 真島 道子
鮟鱇の口円周率の無限 松本 進
抱つ子ひもの中は愛犬冬帽子 宮沢 久子
古日記焼いて心の鍵外す 村中 紫香
三婆に笑ひ神憑く日向ぼこ 守屋 典子
円テーブル囲み談笑冬座敷 吉居 珪子
九月三十日(木) 於・横浜市社会福祉センター
兼題 「耳」・「深」 参加者二十二名(五十音順)
放蕩も風まかせなり芒の穂 麻生 明
丹沢の光を集め鷹柱 伊澤嘉與子
霧笛聴く外人墓地の無縁塚 井出 佳子
名月になる月細く生まれけり 梅津 大八
あと二円貼り足す切手小鳥来る 加賀田せん翆
金木犀重荷おろして深呼吸 片倉 幸恵
女ひとり眼ざし深く花カンナ 金澤 一水
秋耕の鍬の深さや老い自慢 蒲谷トシ子
新米の白き光りの塩むすび 神野 重子
秋霖や青深まりし竹の寺 北村 まき
夜空には無限にロマン賢治の忌 菅原 若水
耳寄りな話遮る秋の蜂 田中 悦子
秋の灯のもれるお堂や扉押す 友井 眞言
月が欠け謎深くなる卑弥呼の地 内藤ちよみ
涼新た女の顔を取りもどす 苗村みち代
にんげんの傷の数だけ曼珠沙華 西田みつを
鳩たちも軒借りに入る秋時雨 平野 肇
楚々として草の花にも矜持あり 真島 道子
推敲に推敲重ね新酒酌む 松本 進
秘密基地は確かこの辺葛の花 宮沢 久子
秋日濃し喪服の似合ふ人哀し 村中 紫香
衣被手抜き料理と言はれても 吉居 珪子
七月三十一日(土) 於・横浜市社会福祉センター
兼題 「上」・「野」 参加者二十名(五十音順)
半分は鳴かぬ蝉なり五輪来る 麻生 明
地中から野へ抜け出づる蟬時雨 阿部 清明
森の香を拾ひ拾ひつ黒揚羽 伊澤嘉與子
翔平の野球魂雲の峰 井出 佳子
大いなる夢のかたちに天の川 加賀田せん翆
照り返すワインレッドの百日紅 片倉 幸恵
少しづつ時計の狂ふ晩夏かな 加藤 房子
星涼し浜辺の恋は波が聞く 金澤 一水
誰が被せし野仏の麦稈帽 神野 重子
感染と五輪の記事の炎暑かな 川満 久恵
独り居に馴れて写楽の団扇かな 北村 まき
よしきりや鉄橋過る上野行き 桐畑 佳永
夏野行くあのふるさとは草の中 菅原 若水
たましいを忘れて来しか昼寝覚 田中 悦子
花南瓜尻のつめたき野の仏 西田みつを
感動を免疫力に夏五輪 真島 道子
ベンチ這う蟹や真昼の無人駅 宮沢 久子
職辞して更衣なき男の背 村中 紫香
朝清し蟬鳴き止みしひとところ 横田 正江
花茣蓙やままごと遊び知らぬ子等 吉居 珪子
五月二十九日(土) 於・ 横浜市社会福祉センター
兼題 「言」・ 「夜」 参加者十九名(五十音順)
空缶の掬ふ湧水夏光る 相 道生
ワクチンの接種を明日に更衣 伊澤嘉代子
肝心なことは言わざり生身魂 井出 佳子
順調と言われたあの日さくらんぼ 加賀田せん翆
エア・ポート飛び交ふ言語雲の峰 片倉 幸恵
蛇皮を脱ぐ新しき今日のため 加藤 房子
コロナ禍の夜遊び封ず牛蛙 金澤 一水
あの頃と言いたがる人かたつむり 蒲谷トシ子
五月闇かの一言を秘めしまま 神野 重子
うなずきも言葉の一つ螢の夜 北村 まき
言霊の幸ふ国や風薫る 桐畑 佳永
横浜が傾いている青嵐 田中 悦子
いつまでも海を見ている白日傘 苗村みち代
麦秋や孤独の馬を見る孤独 西田みつを
でで虫の繰り言を聞く野の仏 平井伊佐子
鍋やかんひねもす磨く昭和の日 真島 道子
鵺の舞ふ闇の深さや薪能 宮沢 久子
水羊かんさらりと白き嘘を言ふ 村中 紫香
有毒と言われしは嘘蛇苺 吉居 珪子
令和三年三月二十三日(火) 於・ 横浜市社会福祉センター
兼題 「未」・ 「残」 参加者二十三名(五十音順)
(コロナ禍により人数を制限して開催)
水ぬるむ茶房の壁の裸婦素描 相 道生
定型のふとうとましき春の雷 麻生 明
春の虹太く門出を祝ひけり 伊澤嘉與子
鳥雲に江戸の名残りの大手門 井手 佳子
三月の記憶は濡れたまま残り 加賀田せん翆
妹よ残り香淡く水仙花 片倉 幸恵
古民家や生木の烟る炉の名残り 加藤 房子
未完とは大器なること犬ふぐり 金澤 一水
森は今扉全開百千鳥 蒲谷トシ子
兄ちやんの息も入れ打つ紙風船 神野 重子
未来へと津波ラインに桜植う 川満 久恵
街道に残る巨木や春の雨 北村 まき
啓蟄の出たがる鼻毛ちよんと切る 桐畑 佳永
人類に握手とハグと木の芽和 坂 守
冷えし身のやがて解るるカフェのジャズ 田中 悦子
残心や弓を収める花の宵 友井 眞言
揺れ残る大き薄氷ひみこの地 内藤ちよみ
未だ知らぬ星の名数多ヒヤシンス 苗村みち代
囀りに廃校の鐘正午打つ 西田みつを
啓蟄の野にサーカスの太き杭 平井伊佐子
正門に町の未来図卒業期 宮沢 久子
島ひとつ持ち帰りたし瀬戸の春 村中 紫香
野良ながら未来見ている孕み猫 吉居 珪子
令和2年11月28日(土) 於・横浜市社会福祉センター
兼題「光」・ 「真」 参加者二十一名 (五十音順)
(新型コロナ禍により人数を制限して開催)
踏入れば冬の光沢雑木山 相 道生
陽光の重さを背に日向ぼこ 青島 哲夫
さまざまな未来へ落ちてゆく木の実 麻生 明
のほほんと光る真冬の昼の月 阿部 清明
相照らす人工衛星冬銀河 伊澤嘉與子
カフェ小春午後の光を溢れさせ 加賀田せん翆
短日の光編み込む畳職 井手 佳子
万両の真紅重心低く満つ 加藤 房子
神の留守子の手術日の決まりたる 神野 重子
手に受けし光の色に秋を知る 片倉 幸恵
真実を隠してマスク街に群れ 金澤 一水
東京は光のオブジェ神の留守 桐畑 佳永
一つづつ星のふえゆく枯野道 北村 まき
真ん中に炬燵置きたる洋間かな 坂 守
嚏まで似ている父子将棋指す 苗村みち代
鈍痛のようにひかりぬ冬の川 西田みつを
到来の大吟醸よでんと冬 真島 道子
訛りのせ宅配便の師走かな 松本 進
笑ひ落つ一人相撲の石榴の実 平井伊佐子
歩み初む曾孫の手なる破れ障子 村中 紫香
凩や輪唱の如駆け抜ける 吉居 珪子
九月二十九日(火) 於・横浜市社会福祉センター8階
兼題「大」・「一」 参加者14名(五十音順)
(新型コロナ禍により人数を制限して開催)
鯖雲や風通しよき無人駅 青島 哲夫
秋麗や一戸は農を棄てざりき 麻生 明
色変へぬ松を要に大手門 井出 佳子
大空の隅っこが好き小鳥来る 加賀田せん翠
一人酌む隅の女の新走り 加藤 房子
郊外のすみか無番地ちちろ鳴く 蒲谷トシ子
吾亦紅花瓶のなかで我も居り 川満 久恵
大山の水に遊ばす新豆腐 神野 重子
新米入荷ビラ貼る引戸磨かれて 北村 まき
この坂に言ひ伝へあり曼珠沙華 友井 眞言
大顎の男きれいに秋刀魚食ぶ 内藤ちよみ
涼新た若い仏師のピアスかな 苗村みち代
ぢいちやんの軽トラ秋をぶつ飛ばす 松本 進
柿日和老いの準備はもう止める 横田 正江
九月二十九日(火) 於・横浜市社会福祉センター8階
兼題「大」・「一」 参加者14名(五十音順)
(新型コロナ禍により人数を制限して開催)
鯖雲や風通しよき無人駅 青島 哲夫
秋麗や一戸は農を棄てざりき 麻生 明
色変へぬ松を要に大手門 井出 佳子
大空の隅っこが好き小鳥来る 加賀田せん翠
一人酌む隅の女の新走り 加藤 房子
郊外のすみか無番地ちちろ鳴く 蒲谷トシ子
吾亦紅花瓶のなかで我も居り 川満 久恵
大山の水に遊ばす新豆腐 神野 重子
新米入荷ビラ貼る引戸磨かれて 北村 まき
この坂に言ひ伝へあり曼珠沙華 友井 眞言
大顎の男きれいに秋刀魚食ぶ 内藤ちよみ
涼新た若い仏師のピアスかな 苗村みち代
ぢいちやんの軽トラ秋をぶつ飛ばす 松本 進
柿日和老いの準備はもう止める 横田 正江
令和二年七月二十八日(火) 於・横浜市社会福祉センター
兼題「空」・「力」 参加者二十名( 五十音順)
※会場の指示により人数を制限して開催
ぐい呑みのきらりと重し江戸切子 相 道生
空蟬のしがみつきたる兵の墓 青島 哲夫
易々と見せぬ海月の力こぶ 麻生 明
青鳩の潮の間合ひを計りをり 伊澤嘉與子
大空は夢の遊び場星まつり 加賀田せん翆
噴水のやる気失せたる高さかな 加藤 房子
風死すやゼブラゾーンの昼下り 神野 重子
あの時の空腹癒し甘藷蔓 片倉 幸恵
大悪人なれず無念の毛虫焼く 金澤 一水
力漕の櫂のしづくや風薫る 桐畑 佳永
五月雨や地球まるごと洗いたし 惣野 圭子
夜爪切る梅雨もコロナも居座れり 田中 悦子
羽抜鳥人のためなら出す力 内藤ちよみ
サングラス外して気づく茜空 苗村みち代
簟空のどこかが水っぽい 西田みつを
初蟬や生きる力を試される 真島 道子
星空は神話の世界夏の宵 宮沢 久子
空蟬のウエットスーツ脱ぐやうに 平井伊佐子
生きてなほ見えぬものあり浮いて来い 村中 紫香
延命処置不要向日葵頭垂れ 吉居 珪子
令和二年一月二十一日(火)・市民活動支援センター
兼題 「幹」・「指」 参加者三十三名(五十音順)
しがらみを断ち切る火の粉舞ふどんど 相 道生
賀状来ぬ人に心配なりしかな 青島 哲夫
善人を中途半端に去年今年 麻生 明
大地から幹へ小枝へ森芽吹く 阿部 清明
小春日や指折り数え待つ挙式 阿部 文彦
貯金する約束させてお年玉 一宮 英典
淡彩の一月の川鳥の影 伊澤嘉與子
昇龍の別れ涙か龍の玉 石坂 晴夫
大寒や国の根幹ゆらぐ記事 井出 佳子
ゆつくりと戻す体幹初稽古 加賀田せん翆
寒明けや紅差指で塗るくすり 加藤 房子
日溜りへ米ひと握り寒施行 神野 重子
大寒の指さし呼称ひびく駅 片倉 幸恵
終活決め身軽さ啜る晦日そば 金澤 一水
節くれに指輪の閊え枯木立 川満 久恵
盆梅の幹百年の構へかな 北村 まき
誰の指もスマホに戻る初電車 工藤 芳枝
悴める指もて脱ぐやトゥーシューズ 坂 守
新成人掲げる旗に夢一字 惣野 圭子
指先のささくれ立ちて寒に入る 高橋 正子
白菜の合掌を解く夕厨 谷口ふみ子
肩の荷のひとつは下ろし除夜の鐘 田中 悦子
大根が参加賞なり完走す 友井 真言
厳冬の幹の太さが黙秘する 西田みつを
日向ぼこ窓辺に猫の指定席 松本 進
七種や三日坊主のスクワット 真島 道子
幹細胞のすくいし命春隣 宮沢 久子
寒波来ぬ耐震仕様の地獄門 守屋 典子
円陣を組む日溜りの福寿草 平井伊佐子
魁し寒梅富士を指呼におき 村中 紫香
身長のまた伸びし子へお年玉 渡辺 照子
指切りも針千本も春の夢 吉居 珪子
初化粧色足すごとに吾となり 横田 正江
十一月十九日(火) 於・市民 活動支援センター
兼題「音」・「共」 参加者二十八名(五十音順)
救急車に礼を言ひたき神の留守 青島 哲夫
梵鐘の余韻に揺るる紅葉かな 一宮 英典
正規非正規共に勤労感謝の日 阿部 清明
開け放ち掃除ゆるゆる小春かな 伊澤嘉與子
天空の星を汲取る冬北斗 石坂 晴夫
小春日や優先席の共白髪 加賀田せん翠
無花果を食べ原罪を共に負ふ 加藤 房子
旅立ちの神へ言伝たのみけり 神野 重子
南中のオリオン仰ぐ帰宅道 桐畑 佳永
コンダクター音色つまみて紅葉狩 片倉 幸恵
木枯や音を知らない左耳 北村 まき
文様は苦難の軌跡柿落葉 桑原千穂子
短日や明日あればこそ磨く鍋 小堺 基和
短日や托鉢僧の鈴の音 坂 守
燗熱く青春語る共白髪 惣野 圭子
木の実落つ音のみしたる古戦場 谷口ふみ子
亡き姉と共により添う日向ぼこ 高橋 正子
顔見世のはねて天心眉の月 田中いちを
乱反射してビル群の冬夕焼 田中 悦子
松葉蟹雑学口を衝いて出る 苗村みち代
どの指も音生むピアノ小春かな 西田みつを
指先の記憶たしかや毛糸編む 根本 朋子
小春日や小兵力士の技光る 真島 道子
リズムとる尻かろやかに石叩 宮沢 久子
小春日のこはるびいろのてふの影 守屋 典子
日を追うて一家総出の晩稲刈 平井伊佐子
秋扇人の恋路に風送る 村中 紫香
あめつちの道歩みをり吾小春 横田 正江
◆8月19日(火) 於・横浜市社会福祉センター
兼題「浪」 参加者 16名(内1名見学者)
浪曲を流して父の三尺寝 梅津 大八
居待月砕ける浪の響きけり 大高 芳子
放浪の人にはなれず鯊日和 尾澤 慧璃
仙人掌の花咲く団地清掃日 鹿又 英一
絵硝子の大正浪漫晩夏光 川野ちくさ
天日の甘き雫やマスカット 北浦 美菜
蜩や霊感のない霊媒師 佐藤 久
白桃や浪費無縁の老夫婦 瀬崎 良介
扇風機独り占めして孤独なり 髙橋富貴子
立ち漕ぎのふくらむシャツや夜学生 辻内美枝子
三日月に癒されてをり猛暑なる 長瀬 昭子
月山の雨の匂ひの蕎麦の花 長濱 藤樹
節約のこれ以上無理ところてん 服部 光子
浪漫斯に縁遠き夫秋の雲 藤田 裕哉
行き止りの道路の工事秋暑し 古瀬 道子
◆6月24日(火) 於・横浜市社会福祉センター
兼題「濁」 参加者 20名(内1名見学者)
濁声の親爺のさばく鱧の皮 池田恵美子
濁声の児らに手渡す早苗束 鵜飼 教子
それなりの筋を通して心太 梅津 大八
病名のことば濁せし夏の月 大高 芳子
濁流にかぶさつてゐる緑かな 尾澤 慧璃
爺様が白靴鳴らしヘイマンボ 鹿又 英一
濁点は打たぬ旧仮名夏座敷 川野ちくさ
濁り湯に手足とろけて梅雨晴間 北浦 美菜
夏至の日の厨に響く電子音 剣持 紀夫
濁声のポイ渡す人夜店の灯 近藤由美子
父の日や一音濁るハーモニカ 坂 守
色街の果に消えたる梅雨の蝶 佐藤 久
実梅落つ巷の噂あれやこれ 鈴木 良一
濁声のたれの一塗り握り鮨 瀬崎 良介
濁声で始まる競りや青りんご 辻内美枝子
宿坊の山菜尽くし冷し酒 長濱 藤樹
湧水の流れ濁るや夕立後 服部 光子
浮世絵の褪せし団扇や屋形船 古澤 秀
白濁の溢るる外湯雲の峰 古瀬 道子
◇横浜俳話会偶数月句会報◇ 池田恵美子・報
◆4月23日(木) 於・横浜市社会福祉センター
兼題「落」 参加者 15名(内1名見学者)
落石の注意の札や鳥の恋 池田恵美子
リヤカーの離るる壁や春田打 梅津 大八
算盤を弾く指先昭和の日 大崎 恵実
席亭の落ちにわきたる春の宵 大高 芳子
落書きに家族のなまえ鼓草 尾澤 慧璃
平和島競艇場の飛花落花 鹿又 英一
落し物係は不在桜蘂 川野ちくさ
春愁や聞こゆ新宿八代亜紀 剣持 紀夫
落武者の隠れし里や花馬酔木 佐藤 久
落雁の甘味残るや春野点 鈴木 良
洒落のめす蝶ネクタイや弥生尽 長濱 藤樹
落札の米の行方や夏隣 服部 光子
白きもの落し牛舎につばくらめ 古瀬 道子
行く春や落暉に染まる石舞台 松本 進
◇横浜俳話会偶数月句会報◇ 池田恵美子・報
◆2月20日(木) 於・横浜社会福祉センター
兼題「白」 参加者19名(内見学者1名)
卵白を泡立ててゐる余寒かな 池田恵美子
白米の高値の売場冴返る 梅津 大八
啓蟄の畑の隅に立つ煙 大高 芳子
白バイの急に出て来る余寒かな 尾澤 慧璃
海峡の水脈の交錯春寒し 鹿又 英一
選別の「白い恋人」名残雪 川野ちくさ
新品の自転車の行く春の土手 北浦 美菜
白無垢の渡る小流れ梅日和 佐藤 久
雛飾る親子三代貌似たり 鈴木 良
春寒の長き行列気持ち白 瀬崎 良介
分校は生徒が二人木の根開く 辻内美枝子
麗らかや絵本ひも解く縁側に 長瀬 昭子
野仏に椿の散華白毫寺 長濱 藤樹
白梅の匂ふ井戸端母の里 服部 光子
カーテンの白ゆらゆらと梅あかり 比留間加代
自販機のつり銭切れや春寒き 古澤 秀
山間を辿り秘湯の梅真白 古瀬 道子
白熊の行つたり来たり春兆す 村上 裕也
◇横浜俳話会偶数月句会報◇ 池田恵美子・報
◆12月25日(木) 於・横浜市社会福祉センター
兼題「乾」 参加者 19名(内1名見学者)
乾麺の吹きこぼれたり除夜汽笛 池田恵美子
乾鮭の能登のにほひや軒晴るる 鵜飼 教子
釜たぎる小間のひかりや寒椿 大崎 恵実
極月の閉ざされている乾門 大高 芳子
尻もちの子供乾かす焚火かな 尾澤 慧璃
保健室のピンクの布団乾燥機 鹿又 英一
一年をすっきり終える冬木かな 川島由美子
落款の生乾きなり冬座敷 川野ちくさ
アブサンの乾く唇冬の霧 佐藤 久
火の用心拍子木の音乾きをり 鈴木 良
教頭の乾咳次第式次第 辻内美枝子
大枯野下校の子等のじやんけんぽん 長濱 藤樹
鏡文字の文見付けたる煤払 服部 光子
街師走野良小走りに路地曲がる 比留間加代
心地良いブルーノートや冬銀河 古澤 秀
AIの乾きし言葉冬ざるる 松本 進
乾咳の会話止めたる襖越し 村上 裕也
越の風塩鮭素直に乾きけり 脇本 公子
池田恵美子・報
◆10月24日(木) 於・横浜市社会福祉センター
兼題「間」 参加者20名(内見学者1名) 50音順
裏木戸の小さき間口草ひばり 池田恵美子
淋しさの色はそれぞれ秋桜 大崎 恵実
古民家の土間に棲みつき鉦叩 大高 芳子
お揃ひの柄の寝間着や菊の宿 尾澤 慧璃
人形師菊をどんどん足しにけり 鹿又 英一
秋暑し息整ふる鏡の間 川野ちくさ
切り株のさるのこしかけこぼれ雨 北浦 美菜
ハロウィンの仮装はしないハチ公 近藤由美子
女郎蜘蛛色なき風を捕らへけり 佐藤 久
山ノ神にまずは一礼茸狩り 沢 小春
爽籟の京間八畳碁石置く 瀬崎 良介
侘助の気高き赤の落ちにけり 辻内美枝子
行列のとだえる時間照紅葉 長瀬 昭子
あかあかと灯る給油所虫の闇 長濱 藤樹
胴間声の工事現場や暮の秋 服部 光子
文化の日間紙多き会津塗 比留間加代
秋灯や間口の狭き古本屋 古瀬 道子
きちきちや淋しいときは歌ふべし 脇本 公子
秋蝶の背負ふものなき軽さかな 古澤 秀
池田恵美子・報
8月28日(水) 於・横浜市社会福祉センター
兼題「湿」 参加者18名(50音順)
手の甲の湿布の痕や涼新た 池田恵美子
少しだけ使ふ裏金とろろ汁 梅津 大八
黒き雲蟬の鳴き声変はりたる 大高 芳子
一巻の欠けし全集秋湿り 大崎 恵実
手に湿る百円玉や星祭 尾澤 慧璃
湿原の水をつんつん赤とんぼ 鹿又 英一
合せ技一本道場の夏終る 川島由美子
朝刊のかすかに湿り白木槿 川野ちくさ
しわしわの象の鼻筋秋湿り 北浦 美菜
秋の風リード湿らすサキソフォン 近藤由美子
ロッカーに湿るネクタイ秋西日 佐藤 久
鉈研ぎの中砥の湿り涼新た 長濱 藤樹
援農の学徒来るや葉月空 服部 光子
今朝の秋ごみ置場への五分間 比留間加代
日暮れても眼鏡の曇る残暑かな 藤田 ゆい
旅行地図広げしままや暮の夏 古澤 秀
炎天の湿り気なしの会話かな 松本 進
台風の目の狙いたる山河かな 村上 裕也
池田恵美子・報
6月20日(木) 於・横浜市社会福祉センター
兼題「新」 参加者13名(50音順)
新品のシャツの貼り着く大白雨 池田恵美子
乱鶯や県境の文字うすれたる 大高 芳子
新しき人来し句会梅雨晴間 尾澤 慧璃
恋ばなし日傘くるくる回しをり 鹿又 英一
退職の新入社員七月来 川島由美子
神職の下駄真新し竹落葉 川野ちくさ
新繭やシルクロードの西の果 長濱 藤樹
新じやがの煮つころがしのおやつかな 服部 光子
夏野菜の新香山盛り白磁とや 比留間加代
新しき家族と会ふ日夏料理 藤田 ゆい
新築の畳香りて昼寝かな 古澤 秀
地を出て大往生の蚯蚓かな 松本 進
新玉ねぎの葉色に染まる淡路島 吉居 珪子
◆12月21日(木)於・かながわ県民センター
兼題「濁」参加者18名(50音順) 川島由美子・報
歳末や赤い蹴出しのちんどん屋 相 道生
山茶花や九九ほどついて花明り 荒川 杢蔵
濁り湯に大小の柚子浮かびけり 池田恵美子
一二月八日竿竹売りの来て 梅津 大八
庭落葉の残り火の焼く甘さかな 大高 芳子
冬の日や工事現場の濁り水 尾澤 慧璃
濁り湯に隠す胸もと雪明り 鹿又 英一
濁流の今は清流枯すすき 川島由美子
極月や継ぎ足してゐる秘伝垂れ 川野ちくさ
行きつけの花屋の鏡ポインセチア 北浦 美菜
冬空の微かな濁りモアイ像 佐藤 久
道の駅ここだけといふ濁酒 髙橋 翠
小春日を丸く集めて猫眠る 苗村みち代
冬紅葉翳の昏さを加えけり 長濱 藤樹
冬の菜を洗ひし川の濁りたる 服部みつこ
やはらかきストーブの影夢二館 比留間加代
煮え頃の大根寄するお菜箸 村上 裕也
濁声の中泳ぎ行く大熊手 脇本 公子
◆10月26日(木) 於・かながわ県民センター
兼題「弾」 参加者15名(50音順)
行く秋や連弾の背の息づかひ 池田恵美子
黄落やドラムの弾む港町 鵜飼 教子
秋の虫露店の水の捨て処 大高 芳子
弾けたるフーセンガムや鰯雲 尾澤 慧璃
鉄塔の影伸びてゐる豊の秋 鹿又 英一
秋の夜やしみじみと聞く弾き語り 川島由美子
連弾のぴたり終了桐一葉 川野ちくさ
支度中の居酒屋の札鉦叩 北浦 美菜
膝に抱く天使の寝顔秋うらら 古瀬 道子
秋の雷犬の肋を撫でてゐる 佐藤 久
弾けたる津軽三味線秋深む 長瀬 昭子
眠る子の抱く重さや祭髪 長濱 藤樹
中空の大涌谷の湯気と霧 比留間加代
野良猫の毛並さまざま柿紅葉 村上 裕也
秋風や弾みて登る坂の町 脇本 公子
6月22日(木) 於・かながわ県民センター
兼題「風」 参加者15名(50音順)
父の日やいちご大き目その程度 荒川 杢蔵
ふぐ風鈴一斉に鳴るホームかな 池田恵美子
船旅の昼の月あるあいの風 稲村 啓子
三門の和尚の遺偈や青葉風 大高 芳子
大音量の威風堂々ハンモック 尾澤 慧璃
貨車繋ぐ音谺する青山河 鹿又 英一
みどりの夜の魚を捌いて白ワイン 川島由美子
苔の花風来坊の靴干さる 川野ちくさ
小魚の乾煎りからり梅雨晴間 北浦 美菜
水風呂を揺らさぬやうに河馬がくる 佐藤 久
あぢさゐの風の集まる鐘撞堂 長濱 藤樹
父の日や似顔絵の目の細きこと 比留間加代
仰ぎみし泰山木の花匂ふ 松本 進
おんぼろのクーラー風や生欠伸 村上 裕也
山法師照る日曇る日風が友 脇本 公子
4月26日(木)於・かながわ県民センター
兼題「皺」 参加者18名 (50音順)
母の忌や馴染みの店の桜餅 相道 生
脳の皺消えし夢覚め四月馬鹿 荒川 杢蔵
皺の手の紅きマニキュア春大根 池田恵美子
ぼうたんや母似の姉の笑いじわ 稲村 啓子
氷川丸の汽笛に春を惜しみけり 大関 洋
カーネーション卒寿の人の笑ひ皺 大高 芳子
皺くちゃのハンカチを敷く春野かな 尾澤 慧璃
囀やみんなが覗く乳母車 鹿又 英一
象の皺深々とあり春の風 川島由美子
真青なる奥津城の空芽吹けり 川野ちくさ
存分に濡れて艶めく柿若葉 北浦 美菜
水ほのと匂ふ八十八夜かな 高橋 翠
行く春や象の拡ぐる皺の耳 長濱 藤樹
新社員寝押の皺が残りけり 比留間加代
春惜しむ昭和の軌跡大江逝く 松本 進
老衰も戦死もありて躑躅燃ゆ 武良 竜彦
野蒜摘む若き手皺の手子供の手 吉居 珪子
蟻出でて思ひ思ひの道急ぐ 脇本 公子
2月22日(木) 於・かながわ県民センター
兼題「安」 参加者20名(50音順)
盆梅の枝の赤札五割安す 相 道生
ニン月や鼻づら光る石の牛 荒川 杢蔵
梅三分みなとみらいを見はるかす 池田恵美子
安曇野の風の集まる春キャベツ 稲村 啓子
蜆汁細かく箸を使ひけり 大関 洋
早春の安房鴨川の鉄路かな 尾澤 慧璃
安芸灘の波を蹴立てて鰆船 鹿又 英一
単線を行く末黒野のど真ん中 川島由美子
囀や安全靴の干されをり 川野ちくさ
リハビリの終はる安堵の日永かな 北浦 美菜
バリカンの揃へし髪の春めきぬ 坂 守
安産のお守り返す梅の花 佐藤 久
寡婦といふ名にこだわらず春の髪 高橋 翠
菅公の千年祭碑花の兄 長濱 藤樹
蹲の水飲んでゐる恋の猫 比留間加代
風光る老舗屋号の安全帽 藤田 裕哉
暗闇のうづくまるもの落椿 松本 進
母の手に紙風船の弾みたる 村上 裕也
走り根や煌と地にあり落椿 吉居 珪子
若きらと土踏む春の土踏まず 脇本 公子
10月20日(木) 於・横浜市社会福祉センター
兼題「面」 参加者15名(50音順)
虫籠とタワーマンション十五階 阿部 清明
山里は人を見に来る赤とんぼ 荒川 杢蔵
どの向きの風も捉ふる木樵虫 池田恵美子
両面を丁寧に焼き秋刀魚喰ふ 稲村 啓子
蘆刈りて夕日川面に及びけり 大関 洋
錦秋の水面を滑るカヌーかな 尾澤 慧璃
スクリューの渦に飲まるる紅葉かな 鹿又 英一
曳き舟の水面煙らす秋の雨 川野ちくさ
微笑めば面差し似たり温め酒 坂 守
石畳の剥がされてゐる虫の闇 佐藤 久
ほほづきの日暮れ色して売られをり 高橋 翠
秋の日の水上バスの赤さかな 長濱 藤樹
栗を剥く手付き危ない私です 比留間加代
ごみ袋これも衣装とハロウィーン 村上 裕也
衣被越後女は話下手 脇本 公子
令和三年十二月十四日(火)於・社会福祉センター
課題語「閉」 参加者十四名(五十音順)
五年記の重たき余生日記買ふ 相 道生
夫の忌のジングルベルの鳴りにけり 池田恵美子
浮寝鳥夕日差し込む隠沼 大高 芳子
後ろ手に閉める硝子戸おでん酒 尾澤 慧璃
ど真ん中に冬の満月横浜港 鹿又 英一
正門を閉じて静かな年用意 川島由美子
約束の大樹を目指す息白し 川野ちくさ
極月や後ろへ投げる楕円球 坂 守
テーブルを逆さに重ね十二月 佐藤 久
夫の来る妻の忘れし冬帽子 長濱 藤樹
死ぬ力こつこつためて日向ぼこ 西田みつを
やはらかき大根づくしの朝餉かな 比留間加代
下駄のなき下駄箱掃除十二月 吉居 珪子
一本の大根ありて恙なし 脇本 公子
十月十九日(火) 於・横浜市社会福祉センター
兼題 「着」 参加者十五名(五十音順)
試着室の鏡に止まる秋の蠅 池田恵美子
主張せぬことも主張か蚯蚓鳴く 大高 芳子
しづかなる二人の暮し新豆腐 大関 洋
着陸の紙飛行機や草の花 尾澤 慧璃
たこ焼のくるりくるりと秋うらら 鹿又 英一
柿たわわ長距離バスの到着地 川島由美子
膝に置く形見の着物秋深む 川野ちくさ
大三角のとほき名残や後の月 佐藤 久
降りみ降らずみバラ園の白式部 田中 悦子
川崎の火噴く煙突秋の潮 長濱 藤樹
厚着して猫と住みつく坂の街 西田みつを
山粧ふカーブミラーが山を向く 比留間加代
七五三祖母の手慣れし着付かな 村上 裕也
好き嫌いべったら市に行く行かぬ 吉居 珪子
ふるさとの凩と着く上野駅 脇本 公子
八月十七日(火) 於・横浜市社会福祉センター
兼題 「開」 参加者十五名(五十音順)
心棒のぶれぬ若僧滝の音 相 道生
砂時計返し枝豆茹でてをり 池田恵美子
精霊舟紙と鉛筆乗せてやる 梅津 大八
盂蘭盆や従兄弟と覗く開かずの間 尾澤 慧璃
背開きの鯊の天麩羅ひやおろし 鹿又 英一
開け放つ奥の部屋まで青田風 川島由美子
一坪の事務所開きや玉簾 川野ちくさ
居酒屋の開店を待つ夏の果 坂 守
跳ね橋の開かれてをり秋燕 佐藤 久
鵙高音開けてはならぬ詐欺メール 長濱 藤樹
青柿やこつんこつんと村が消ゆ 西田みつを
手拭の墨の一筆とろろ汁 比留間加代
雑音の補聴器はずす秋暑かな 藤田 裕哉
日時計の影も伸びゆく晩夏かな 村上 裕也
秋の蚊の人恋ふ素振り打ちにけり 脇本 公子
四月二十二日(木)於・横浜市社会福祉センター
課題語 「保」 参加者十四名(五十音順)
初出社顎ひもきりり保線員 相 道生
うしろ向きの保母が先頭春の風 鹿又 英一
遅桜余白を埋める空の青 川島由美子
紐付の敬老パスやチューリップ 川野ちくさ
保護犬の背に零るる春ともし 坂 守
轍なす落花や雨の滑走路 佐藤 久
ちぐはぐな夢につられて朝寝せり 高橋 翠
ゴンドラの意外な速さ春の雲 田中 悦子
春暁の糶市の影動きけり 長濱 藤樹
保母になる夢たんぽぽの絮とばす 西田みつを
ひこばえや保育士の押すはこぐるま 比留間加代
サーファーの大波小波技ありて 村上 裕也
これこそは熟年の色紫木蓮 吉居 珪子
ふだん着のままの明け暮れ春の逝く 脇本 公子
十二月十五日(火) 於・横浜市社会福祉センター
参加者十四名 (五十音順)
冬日差くるり陽を巻くかんな掛け 相 道生
植木屋のをんな職人実南天 池田恵美子
着ぶくれて座る屋台の木椅子かな 尾澤 慧璃
豆腐屋の釣銭濡れて冬夕焼 鹿又 英一
万屋は村に一軒石蕗の花 川島由美子
きりもなきボール遊びや大枯野 佐藤 久
里山の屋根みな低く懸大根 高橋 翠
飛び交って鳥語盛んな冬の池 田中 悦子
雪しまく愚直の小屋の彫刻刀 長濱 藤樹
駄菓子屋の飴なめにくる冬の蠅 西田みつを
蕎麦語る店主の眼冬ぬくし 比留間加代
路地わたる湯屋の煙や冬の月 本間 満美
ロシア民謡ダークダックス聴く寒夜 吉居 珪子
会へなくてことば痩せゆく十二月 脇本 公子
十二月十八日(水) 於・市民活動支援センター
兼題「沈」 参加者十六名(五十音順)
骨書きのなき十余年年暮るる 相 道生
かいつぶり推定六羽忙しや 荒川 杢蔵
黄落の貼りついてゐるポストかな 池田恵美子
旧姓で呼び止められし返り花 大高 芳子
冬霧に沈む港の汽笛かな 尾澤 慧璃
木守柿落ちて安堵の実を腐す 加藤 房子
焼いもを食べ終活の話かな 鹿又 英一
沈黙の二人に木の葉降りしきる 川島由美子
沈黙は同意のつもり落葉踏む 川野ちぐさ
風邪ごこち紅茶に沈む角砂糖 坂 守
賞与なき賞与の朝の肌の張り 佐藤 久
忘年会わすれたくない事ばかり 苗村みち代
沈黙の後の一言冬怒涛 長濱 藤樹
ハチ公のまだ待ってゐる十二月 西田みつを
煤逃や没日となり競馬場 比留間加代
葱提げて本屋大賞立ち読みす 脇本 公子
十月十六日(水) 於・市民活動支援センター
兼題「瓶」 参加者十五名(五十音順)
秋晴や子供出払う保育園 荒川 杢蔵
蕎麦すするつるべ落しのテラスかな 池田恵美子
秋風や小瓶の中の星の砂 尾澤 慧璃
正眼に上弦の月病む地球 加藤 房子
稲光だれかが嘘をついてゐる 鹿又 英一
秋の夜や緑の瓶の白ワイン 川島由美子
亡き人の文を広げる良夜かな 川野ちぐさ
東北のいなご迷って都好き 北村とおる
空瓶に葡萄の匂ひ秋惜しむ 坂 守
炊飯器のぶつぶついつて台風来 佐藤 久
瓶詰の酢漬の野菜秋澄めり 長濱 藤樹
馬が馬尻を見ており秋の暮 西田みつを
薄紅葉たたみいわしと酒二合 比留間加代
木の実落つ拾いたき性縄文人 吉居 珪子
母がりへ銀河に流す文の瓶 脇本 公子

吟行会のご案内

吟行会
入選句等については下記「過去の吟行会」をご覧ください
2022年(令和4年)の吟行会は中止といたします
今後の予定は決定次第、お知らせいたします
横浜俳話会吟行会の2018年の実施概要は次の通りでした(参考)
日時 2018年(平成30年)5月21日(月) 雨天決行
会場 鎌倉商工会議所(1階102会議室) 鎌倉駅西口より徒歩5分。
http://www.kamakura-cci.or.jp/about/
会場での食事は不可、飲み物は可。各自昼食を済ませてからお越しください。
受付 12時30分より(短冊お渡し)
※自前の短冊可・裏に名前を記入してください。
会費 千円
投句 二句 〆切 13時
吟行地 鎌倉市内を自由に散策。
寿福寺 JR鎌倉駅より約10分。北条政子が眠っている。
拝観料: 志納(参拝は参道のみ)、実朝・政子の墓はお参り可
見どころ: 参道、実朝・政子の墓と伝える五輪塔のあるやぐら(山門の脇から通じ
る仏殿背後の墓地にある)、高浜虚子の墓
英勝寺 JR鎌倉駅西口より15分。鎌倉唯一の尼寺。
拝観料: 大人300円 高校生200円 中学生以下100円
見どころ: 仏殿、山門、鐘楼、祠堂、祠堂門(いずれも国重文)
長谷寺 江ノ電長谷駅から徒歩5分
拝観料: 大人(中学生以上) 300円 小学生100円
見どころ: 観音堂、阿弥陀堂、経堂、高山樗牛記念碑、高浜虚子句碑、大野万木句
碑、久米正雄胸像、宝物館内、大黒天、梵鐘(国重文)、懸仏(国重文)
光則寺 1.江ノ島電鉄長谷駅徒歩6分 2.JR鎌倉駅東口1番・6番バス乗り場から長谷観音・大仏
方面行きで「長谷観音」下車徒歩4分
拝観料: 大人(高校生以上)100円 小・中学生無料
見どころ: 宮沢賢治詩碑。杉聴雨歌碑。立正安国論の石碑。日朗上人の土牢。市指
定天然記念物のカイドウ。
高徳院 1.江ノ島電鉄長谷駅から徒歩7分 2.JR鎌倉駅東口1番・6番バス乗り場から大仏方面行
きで「大仏前」下車徒歩1分 3.JR鎌倉駅西口から徒歩30分
拝観料: 大人(中学生以上)200円 小学生150円 大仏胎内 20円
見どころ: 大仏(国宝)、星野立子・飯室謙斉句碑、与謝野晶子・金子薫園歌碑
※江ノ電は12分間隔で運行。長谷寺まで7分。 (鎌倉市観光協会ポータルサイトより)

過去の吟行会
申し訳ございません